──それですぐに、ジュエリー業界を目指したのですか？

 

「私にはもっと別の仕事の方が向いている」と漠然と感じていただけで、具体的なビジョンはありませんでした。
転機は、よく当たると評判の占い師を訪ねたことです。「鏡の前で、綺麗なものを売っている情景が浮かぶ」と言われました。その帰り道、たまたま会った学生時代の友人に占いの話をすると、全国展開している宝石店が人材募集していることを教えてくれたんです。応募したら無事採用され、宝石の仕事に就くことになりました。

 

天職として取り組んだジュエリー業界での仕事

──初めて携わるジュエリーの仕事は、いかがでしたか？

 

全くの未経験でしたが、できることに一生懸命取り組んだ結果、すぐに営業成績がトップクラスになりました。半年後には店長に昇格。大変さもありましたが、ジュエリーのことだけを考え、仕事に臨む時間はとても充実していました。天職に巡り会えたと思いましたね。
勤めていた会社は、結婚を機に退職しました。子どもを出産した後は、毎日子育てに追われ、完全にジュエリー業界から離れてしまいました。あれだけ情熱を捧げていたジュエリーについて考える時間は一切持てなかったんです。

 

──お忙しい中、どのようにジュエリー業界に復帰されたのでしょうか？

 

前職で関わっていたお客さまから1本の電話がありました。「あなたのところで宝石を買いたい」と。温かな言葉をかけていただいたことが、私には本当に嬉しいことで。待っていただけるお客さまがいて、私にしかできない仕事がある。再びジュエリーへの情熱を取り戻し、一念発起して独立を決断しました。

 

理想のサービスを追求できる喜び

──独立後は、どんな事業を始めたのでしょうか。

 

「横浜のジュエリーリフォーム＆オーダーメイドサロン」と銘打ち、横浜で宝石サロンの事業を始めました。様々な理由で使われていなかったジュエリーを、お客さまとコミュニケーションを交わしながら、全く新しいデザインにする仕事です。
当時はジュエリーリフォームという言葉は全く知られていませんでした。それでもお客さまから評価していただけたのは、宝石が生まれ変わるからです。家族から譲り受けたなど、思いはあるけれど古いデザインの宝石。お客さまが好み、現在のトレンドを生かしたデザインに一新します。「感動しました」と喜んでもらえることが多かったですね。

 

──それは、お客さまも嬉しいですね。

 

宝石サロンと並行して、横浜の大手百貨店での出店も12年間続けていました。今でも「あの百貨店でお店を出していたんですね」と言っていただくことがあります。ふたつの仕事を両立するのは大変でしたが、会社員時代とは違った喜びを感じていました。独立したことで、私自身が目指す理想のサービスを100%追求することができたからです。
もっと一人ひとりのお客さまと丁寧に向き合うために、2017年、東神奈川駅から徒歩2分の場所に「ジュエリーアグリア」を開業しました。

 

10万人以上の接客、ジュエリー提案の経験を生かす

──ジュエリーアグリアは、どんなお店ですか？

 

ジュエリーリフォームをはじめ、販売、買取、修理、オーダーメイドジュエリーの販売など、ジュエリーに関するサービス全般を取り扱っているジュエリー専門店です。
私は30年以上ジュエリー業界に携わり、これまで10万人以上の接客、ジュエリー提案を行なっており、様々な知見からお客さまに信頼いただけるジュエリーの提案ができると自負しています。

 

──どのように提案されるのでしょうか？

 

来店のご予約をいただき、まずはジュエリーをご持参いただきます。宝石は実物を見ることなしに状態を把握することはできません。形状、厚み、キズなどを拝見した上で、お客さまの宝石をどのように生かし、魅力を最大限引き出すことができるかを提案します。

 

──どんなものでもジュエリーリフォームできるのでしょうか？

 

ビーズ、アクリル、スワロフスキーなどのアクセサリーはお受けしておりません。シルバーなど、安価でも加工に適さない素材についてはお断りすることもあります。
また、宝石の状態によっては価値が低いものもあります。そのときは、「ジュエリーリフォームでなく、新しいものを買った方が良い」と提案することもありますね。宝石は高額な商品ですから、いかに長い間お客さま満足いただけるかを考えるようにしています。

 

宝石の魅力＝身につけた女性が輝くこと

──新井さんが感じるジュエリーの魅力とは何ですか？

 

どんな時代も変わることのない、普遍的な力が宝石には宿っていると思います。
ジュエリーに関心のあるお客さまは、必ずしもスタイリッシュな生活をしているとは限りません。仕事に追われていたり、子育てや介護で疲れていたりと、なかなかおしゃれに気を配れないことも多いでしょう。そんな方が新しいジュエリーを手にして、パッと目が輝く瞬間を何度も見てきました。だからこそ、手にしていただいたときの喜びや満足感を、ずっと持ってほしいと思いますね。

 

──宝石には、なぜそのような力が宿っているのでしょうか？

 

やはり、キラキラ輝いているからでしょう。本物で、まさに地球からの贈り物ですよね。間違いなく、この世の中で最も美しいものだと断言できます。だからこそ、ジュエリーは女性のテンションを上げ、女性の心を豊かにするものなんです。
宝石業界は、この世の中に女性が消えない限り、なくならないと言われています。それくらい女性にとって必要なものですし、私も一人でも多くのお客さまに宝石の魅力を伝えていけたらと思っています。

 

女性が美しくいるためのサポートをする

──新井さんの今後の目標を教えていただけますか？

 

私たちは、もっと進化を続けていく必要があります。
当然ながらジュエリーにはトレンドがあり、現状に満足していては、時代に合ったジュエリーの提案をすることはできません。海外にも積極的に足を運び、時代の変化に合わせた提案ができるよう心掛けています。

 

──お客さまへの提案が、ジュエリーアグリアの肝なんですね。

 

ジュエリーアグリアには、デザイナーや職人などのプロフェッショナルが集まっています。それぞれが持つ専門性を結集し、お客さまにより良い提案できるよう努めています。
2021年には、GIA宝石鑑定士の新海が仲間に加わりました。宝石に関する深い知識を持った新海の加入は、ジュエリーアグリアにとって大きな強みになりました。進化を続けることで、ご縁があったお客さま一人ひとりと、これからも信頼関係を育み続けたいと考えています。

 

──宝石とお客さまに対する、ジュエリーアグリアの真摯な姿勢を感じます。

 

何でもない日常の中でも、女性がキラキラと美しくいてほしいというのが私の願いです。ジュエリーアグリアの仕事は、宝石を販売することではありません。宝石をきっかけに、女性が美しくいるためのサポートをしたいと考えています。相談は無料ですし、査定のみでご来店いただくのも大歓迎です。宝石についてお悩みであれば、私たちプロと一緒にどうすれば良いか考えていきましょう。
今後は海外から訪日される方も増えていくでしょう。海外のお客さまにもジュエリーの価値を伝えていくことで、日本の美意識を世界に広めていけたら嬉しいですね。