まさか、私が宝石屋さんに!?
女性の美に強い興味のあった私が、最初についた職業は美容師でした。
美容学校を卒業し、某有名美容室に勤務しながら自分にはもっと何か別の道があるので?・・・漠然とした思いを描き、迷いながら働いていました。
そんなある日、よく当たると言われる有名な占い師さんに占ってもらうと、「鏡の前で綺麗な物を売っている情景が浮かぶ」と言われました。
その帰り道、学生時代の友人に偶然出会い、占いの話をしました。
すると、「え~!!ちょうど○○宝石店が人材募集をしてたけど、千秋さんにはぴったりだと思って勧めようと思っていたのよ!」と言われ、何か不思議な偶然が重なっている気がしました。
それから数日後、極度の緊張感の中、宝石店の面接会場に向かいました。
全国展開の大きな宝飾店。あまりにも大勢の募集者に、不安で足がすくんでしまった事を今でも覚えています。
「経験もない私が受かるはずがない・・・」そう思いながらも、毎日結果を待っていました。
1週間後、ポストを覗くと1通の通知が・・・
結果はなんと採用でした!
これから新しい事が始まる!そんな感覚でした。
初めての宝石のお仕事ですが、”お客さんに喜んでもらう”という点では、何の仕事でも一緒です。
自分なりに、出来る事に一生懸命取り組みました。
入社してすぐ営業成績がトップクラスになり、半年後には店長に昇格。
「この仕事、私に向いているんだなぁ」と、素敵な仕事に出会えてうれしく思う一方、「出る釘は打たれる」そんなことわざの通り、辛い時期もありました。
今だから言えますが、宝石の業界はやっぱり女の世界です。
壮絶ないじめもありました。
何度悔しい思いをしトイレで泣いた事でしょう・・・。
しかし、お客様が私からジュエリーをお買いになるとき、喜ぶお顔を見るのが嬉しくて、どんなことがあっても頑張って続けられました。
大きな組織の中で自分のやり方を貫く事の難しさを感じました。
商品の販売後も、じっくりとお客様とお付き合いしたかった私の考えとは異なり、効率性を求める会社組織の中では、思うように出来ないもどかしい悩みを抱えていました。
そんな日々を送っていましたが、友人の紹介で知り合った男性と(主人)結婚。
何度か会ううちに、驚く事が・・・。
偶然にも彼は宝石職人家系の息子だったのです!
それもまた、不思議な偶然ですね。私は宝石店を寿退職することになります。
人生を変えた一本の電話
30代になると子育て奮闘中の毎日が続いておりました。
そんな時、1本の電話がかかって来ました。
「コインのペンダントが欲しいんだけど、あなたから買いたいと思っていたのよ!もう辞めちゃったの?」
宝飾店時代のお得意様からの電話でした。
今思えば、この1本の電話が人生の転機だったのです。
待っていて下さるお客様がいて、私でなければ出来ない販売がある。
「独立して自分でやればいいじゃない。協力するわよ!」という心強い言葉を追い風に独立を決心しました。
妻として母として子育てに追われながら2足のわらじのスタートです。
会社経営にあたり、新しい知識を身に付けなければならないのに、数々の難問が立ちはだかりました。
せっかくお客様のご要望に応えるため独立したのに、資金不足と焦りの毎日でした。
それでも今まで勤め人時代では出来なかった事である、「宝石屋とはこうあるべきだ」と自分なりの哲学を実践できる事は毎日大きな喜びでした。
思えば不思議な巡り会わせを経て、今はこの仕事を心から天職と感じています。
私の役割。
宝石は価値があり、高い物ですから、買ったときの喜びと満足感をずっと持って頂きたい。
宝石箱に中にしまいっぱなしになることなく、ずっと楽しんで身につけてもらいたい。
その様に思って参りました。
販売する事だけでなく、リフォーム・オーダー・買取など、宝石を扱うこのお仕事は、女性が美しくいるためのサポートをする仕事だと考えています。
時にお客様のスタイリスト。
時に新たなものをつくるデザイナー。
時に宝石職人の役目。
私の宝石人生のモットーといえる事、それは・・・
「宝石を通して一度ご縁を頂いたお客様と、ずっとずっと強い信頼関係を育み続ける」
この一言に尽きます。
最後までお読み頂きありがとうございました。
あなたとお会い出来ますことを楽しみにしております。
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